前日は五色沼近くのキャンプ場に泊まる。施設も悪くないし、なにしろ安い。バーベキューコンロを忘れたことを除けば、快適なキャンプだった。
朝起きると多少の風はあるものの、うっすらと陽が差し、ここ数日の天気予報が曇りや雨だったことを考えると前途は明るいように思われた。
しかし裏磐梯スカイラインを経由して、浄土平に向かうまでの道すがら、その甘い考えは打ちのめされることとなる。標高が上がるに従い風は強まり、どこからともなく湧き上がる霧はキャンプ道具を満載した僕の車を覆い隠す。浄土平の駐車場に到着した時には、すぐそばにあるはずの吾妻小富士すら、乳白色のカーテンの向こうに姿を消していた。
今回の旅の大きな目的に「一切経山の山頂から五色沼を眺める」があった。得意先の山好きおばさんに薦められたことが大きい。白神山地もその薦めに従い行ってみたら素晴しかった経験があるので、ある程度以上の信頼性があったのだ。
しかし、さすがに今回はこの風と霧で、山を登ることすら危ぶまれる状況にある。近くの情報センターで係りの人に伺うも、天気ばかりはしょうがない、と諦め顔。彼女と相談した結果、とりあえず出発してみて危険ならば引き返そう、ということになった。レインウェアを着込み、湿地帯を歩き出した。
湿地帯を抜け、尾根沿いに進む道は、風の影響をもろに受ける。しかも潅木も少なく、岩と霧のモノトーンで殺風景な光景が延々と続く。この時点で、山頂から「魔女の瞳」「吾妻の瞳」と称される五色沼を望むことがかなり難しいというのは、強風の中でも一歩ずつ歩を進める僕らの暗黙の認識だった。
苦労して登った山頂もやはり一面の白い世界が広がっていた。絶え間なく湧く霧は、風によって入れ替わりながら石を積んだ頂上の碑すらも隠す。当然、瞳の色から魔女のご機嫌を窺うことはかなわない。同様の目的で登ってきたであろう2組の登山者が座って霧が晴れるのを待っており、僕らも15分ほどその場に留まるも、強風と寒さであえなく下山を決めた。
まるで魔女が地獄の大釜で焚く煙のようだ。どんな薬を調合していたかは解らないけれども。
朝起きると多少の風はあるものの、うっすらと陽が差し、ここ数日の天気予報が曇りや雨だったことを考えると前途は明るいように思われた。
しかし裏磐梯スカイラインを経由して、浄土平に向かうまでの道すがら、その甘い考えは打ちのめされることとなる。標高が上がるに従い風は強まり、どこからともなく湧き上がる霧はキャンプ道具を満載した僕の車を覆い隠す。浄土平の駐車場に到着した時には、すぐそばにあるはずの吾妻小富士すら、乳白色のカーテンの向こうに姿を消していた。
今回の旅の大きな目的に「一切経山の山頂から五色沼を眺める」があった。得意先の山好きおばさんに薦められたことが大きい。白神山地もその薦めに従い行ってみたら素晴しかった経験があるので、ある程度以上の信頼性があったのだ。
しかし、さすがに今回はこの風と霧で、山を登ることすら危ぶまれる状況にある。近くの情報センターで係りの人に伺うも、天気ばかりはしょうがない、と諦め顔。彼女と相談した結果、とりあえず出発してみて危険ならば引き返そう、ということになった。レインウェアを着込み、湿地帯を歩き出した。
湿地帯を抜け、尾根沿いに進む道は、風の影響をもろに受ける。しかも潅木も少なく、岩と霧のモノトーンで殺風景な光景が延々と続く。この時点で、山頂から「魔女の瞳」「吾妻の瞳」と称される五色沼を望むことがかなり難しいというのは、強風の中でも一歩ずつ歩を進める僕らの暗黙の認識だった。
苦労して登った山頂もやはり一面の白い世界が広がっていた。絶え間なく湧く霧は、風によって入れ替わりながら石を積んだ頂上の碑すらも隠す。当然、瞳の色から魔女のご機嫌を窺うことはかなわない。同様の目的で登ってきたであろう2組の登山者が座って霧が晴れるのを待っており、僕らも15分ほどその場に留まるも、強風と寒さであえなく下山を決めた。
まるで魔女が地獄の大釜で焚く煙のようだ。どんな薬を調合していたかは解らないけれども。
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