退廃の街

2005年2月17日
雪が全てを浄化してくれるならば、今日はその裏の一面を見たようだった。前日の雪で白に染まった街は十分美しかったし、青空とのコントラストも素晴らしい。いつもの朝とは一風変わった風情は、凛とした空気の中で新しい一日の到来を告げ、そして前向きな何かを予感させる。

常にうつろいゆく街は、それ自身生物に例えられることが多い。実際、四季で見せる様々な顔は僕らを楽しませてくれる。緑とまでは言えない微妙な薄緑のケヤキが春と初夏の境目を飾り、舞い散る枯れ葉が冬の到来を告げる。

今日はいわば進化が猛スピードで駆け抜けた一日であったのだろう。朝の美しき街は、昼には醜悪な一面を見せ始め、うず高く積まれ、そして灰色に汚れていく雪が退廃感すら漂わせる。

それは街という生き物が、人間と言う媒介を通してのみ存在する事実を教えてくれる。汚されていない雪を処女雪、ヴァージンスノーというならば、街は決して清純とは言い難い。

そしてその媒介たる僕らもきっとそうだ。この汚れた、そして儚く消えゆく路傍の雪のようだ。時間の深淵に落ちてゆくだけ。

退廃の街というと失礼かもしれない。街のせいではない。ましてや雪のせいでもない。全ては僕らの所業なのだから。

浄化されるはずもない。でも、穢れとともに、僕は生きる。

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