津軽海峡を1時間半程度で渡り、函館に到着した。滞在時間は多く見積もっても3時間強。昼のフェリーで青森に戻る超強行軍のため、見られるところはおのずと限られてくる。朝市、函館山、五稜郭の3ポイントに絞り、効率的に回ることにした。

函館山までフェリー乗り場から約20分。まだ朝の装いの街は静かで走りやすい。ただ市電が道路の真ん中を占拠しているので、どこを走ったらいいのか分からなくなったり、線路にタイヤを取られそうになったりする。実際、僕のバイクが軌道にはまることは物理的にあり得ないのだが、雨の日などは滑って怖いだろうな、きっと。

函館山に登るルートは一般道とロープウェイがあることは、フェリー内で確認済み。急峻な山道、しかしきちんと整備された道を2台のバイクが駆け上る。途中、開ける視界に飛び込んでくる函館湾や市内の街並みは昼間でも十分雄大な眺めであったし、これが夜景だったら更に美しいであろうことは3歳児でも想像できる。僕らはまだ車の少ない道を、景色を楽しみながら快適に頂上まで上りきった。

駐車場も空いている。バイク用の駐輪場はないのかな、と周りを見渡すが、それらしきものはなく、車の駐車スペースに2台停めた。エンジンを切り、ヘルメットを脱ぐと、こちらに向かって走ってくる派手な蛍光グリーンのウィンドブレーカーを着た係員さんの姿が目に入った。

「ここ停めちゃだめなんですか?」
「いやぁ、二輪車ダメなんだよ」
「へ?」
「入り口に二輪車走行禁止って書いてあったんだけど。まあ、みんなよく間違えて来ちゃうんだけどね」
「ぜんっぜん、気付かなかったっす」

すぐに下りてくれ、と急かす係員さんに「もう帰るから、せめて写真だけ」とお願いしたら、しょうがないなぁという顔をして立ち去ってくれた。函館山とバイクという普通ではあり得ないショットが撮れて、ちょっと満足しながら僕らは帰路に着いた。

入り口には確かにバイクは進入禁止の旨が記された看板があった。僕はまったく気付いていなかったが、後で聞いたら、連れはちらっと見えていたらしい。確信犯だなぁ。

しかし、函館山を抜けた一方通行の道を下ると、なんと警察がいるではないですか。なんだよ、張ってんのかよ!と思って愕然とする。知らなかったんですぅ、で許してくれるかな?と心の中で言い訳を用意した。

しかし彼らは旅姿の2台のバイクに一瞥をくれただけで、駐車違反の取り締まりにご執心。助かったぁ。まぁ冷静に考えたら、現行犯じゃないので捕まるわけはないのだが、彼らの制服には無意識のうちに人を警戒させる力が確かにある。

朝市でサケ親子丼を食し、お土産を買う。五稜郭は桜の名所のようで混んでいて近寄れない。諦めてフェリー乗り場へ。

函館はあっという間に航跡の向こうに消えていった。

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