四日間の奇蹟

2006年2月17日 映画
原作を少し前に読んでいた。
僕が手にしたのではなくて、ただ彼女に薦められたから読んだだけだ。おもしろい、おもしろくないという批評よりも、「ずるいなぁ」というのが率直な感想だった。断っておくが、ストーリーは一気に読ませる勢いがあるし、文章も上手(テクニックに走るきらいがあるが)。決して嫌な後味ではない。

この類の小説は、生きることの重要性とか人生そのものを描写するために、「死」を用いることが多い。確かに涙は誘うが「でも、それってどうなの?」という根底の疑問が解けない。フィクションでしか描けない現実は、決してリアルには響かないんじゃないかなと。

こんなことを彼女に言うと「いいじゃない、小説なんだから」と一蹴されるに決まっている。
ま、楽しめりゃいいんだし、主人公や登場人物への感情移入という点を考えると、あまりリアル過ぎるのも考えものだ。

でも映画ともなると、想像力以上に視覚や聴覚から情報が流れ込むため、あまり深い意味を考えることなく流される。原作を読んだ作品は特にそうだ。話題作に関して原作を先に読むか、映画が先かは未だ自分の中の解答は得られていない。

DVDで「四日間の奇蹟」を借りてきて、彼女と一緒に観た。大筋では原作に忠実な映画だったと思う。主演の吉岡秀隆は、ちょっと僕の想像していた如月とは違っていたが(もっと影がある孤高の天才タイプを思い描いていた)、石田ゆり子や中越典子はイメージとほぼ合致。ディテールの違う部分(施設の設定、事故の経緯、西田敏行など)は、2時間という制約を考えれば妥当な範囲でしょう。

クラシックは詳しくないのでピアノの曲名が分からなかったのが残念。クライマックスに礼拝堂で演奏した曲は「月光」なのかなぁ。あれがそうだとしたら、原作のイメージと最も相違したシーンかもしれない。

でも静かないい映画だったと思います。彼女はラスト寝ちゃってたけど。僕はちゃんと起きてましたし、素直にちょっと涙も流しました。まだ純粋な32歳11ヶ月。

なーんて、歳を取ると涙脆くなるってヤツかな?

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