ISBN:4334738427 文庫 荻原 浩 光文社 2005/03/10 ¥720

ま、何の気なしに手に取った一冊。ただ「明日の記憶」の著者でもあったので、興味がそそられたのも事実だけど。

いや〜、面白かったです。今の仕事や会社を具体的に投影した共感もあって、
「うんうん、そーだよな」
と思わずニンマリしてしまう。ウチの会社の社長やお客様対応セクションの人間には、ぜひ読んでもらいたい。福岡−羽田便でニヤツキながら単行本をめくっていた怪しい人間は、おそらく僕です。

ちょっと青臭いかな、と思わないでもない。でもこれくらい単純明快かつ痛快であると、ディテールよりも流れで読み進めてしまう力がある。彼女も一気に読んだそうだが、
「面白かったけど、特に男の人が好きそうな小説ね」
とのコメント。
うーん、そうなのかな。

普段あまり気付かない視点ではある。名も知らないお客さん、ホームレス、そして最も身近な存在である彼女。まったく無関係でありながら、人生の方向性すらも示唆しうる考え方が存在する。パッと閃くような啓示ではない。そこに普通に落ちているモノを拾う作業、つまり日常の中にいくらでも宝物が見つけられることを教えてくれる。

ま、やはり小説ですから、
「ありえね〜」
ていう話なんだけどね。

「明日の記憶」を書いた作家さんとは思えない、そんなギャップも良かったのかな。あんまり本読んでないけど、暫定「今年No.1」です。

コメント

ニケ
ニケ
2006年6月21日15:47

新しいワザ(リンク)を使いましたね。
ナイスレビューです。

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