感染

2006年12月6日 読書
何の気なしに手にした一冊。移植をテーマにした医療系の小説、第一回小学館文庫小説賞受賞、だそうです。

展開が少し強引だったことを除けば、今の僕(仕事&私生活)と重複する部分があり楽しめた(身につまされた、と言ったほうが正確かも)。異種移植は話には聞いていたけど、こんなところで出くわすとは思ってもみなかった。「ミニブタ。をプロデュース」と某所の掲示板には張ってあったけどね。

医師の葛藤、命の尊厳、生命への畏敬・・・そういったテーマを扱うのは極めて難しいと思える。特に脳死移植は「ドナーの脳死」という事実が起こってから成立する話なので、更に混乱する(白血病などの骨髄移植では、ドナー側に生命の危険は殆どない)。そこに切り込んだ勇気は賞賛に値するし、「メスを持つのが医者」という概念を取っ払い、基礎系に光を当てたことも価値がある。

ただ、ちょっと覗いたHPで異種移植に辿り着いてしまう短絡さと、主人公の友人という新聞記者が真実へ到達する経過があっけなくて興ざめ。ていうか全国紙の記者がワープロ書きの遺書を、裏付けなしにスクープするか、普通。

「白い巨塔」に代表される医療小説。「パラサイト・イブ」は荒唐無稽で面白かったけど、なかなか普通の作家さんは入り込みづらい分野なんだろうな。山崎さんは偉いな、そう感じました。

ISBN:4094080465 文庫 仙川 環 小学館 ¥580

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