今年最後の荻原浩作品。田舎がモデルで「オロロ畑でつかまえて」と共通するような背景。荻原節はこの作品でも健在で、テンポがよく一気に読み進められる。
荻原作品の多くで共有する要因として「プレゼン」がある。もちろん作者の広告代理店勤務の経験からくるが、その緻密な描写が全体のリアリティを形成し、巧みに個々の作品に組み込んである。
あと特筆すべきはラストシーンの美しさ。「メリーゴーランド」は「明日の記憶」と双璧だと思う。誰もいない、もう誰も乗ることのない、小さなメリーゴーランド。市内を見渡す山の上で、最後の電源が入る。
祭りの後の虚無感や、本来ならば人を楽しませるための存在が、いろいろなエゴによって消え失せてしまう儚さ、一公務員が成し遂げたはずの栄光と挫折。様々な人間の想いを載せて、メリーゴーランドは回る。
最近読んだ小説の中では、読後の清涼感がいいのも荻原作品。決して完全ハッピーエンドではないにも関わらず、そう思わせるのは、きっとそれだけ感情移入しているからかもしれない。
ホント、今年は荻原浩三昧の一年でしたなぁ。
ISBN:4101230331 文庫 荻原 浩 新潮社 ¥620
荻原作品の多くで共有する要因として「プレゼン」がある。もちろん作者の広告代理店勤務の経験からくるが、その緻密な描写が全体のリアリティを形成し、巧みに個々の作品に組み込んである。
あと特筆すべきはラストシーンの美しさ。「メリーゴーランド」は「明日の記憶」と双璧だと思う。誰もいない、もう誰も乗ることのない、小さなメリーゴーランド。市内を見渡す山の上で、最後の電源が入る。
祭りの後の虚無感や、本来ならば人を楽しませるための存在が、いろいろなエゴによって消え失せてしまう儚さ、一公務員が成し遂げたはずの栄光と挫折。様々な人間の想いを載せて、メリーゴーランドは回る。
最近読んだ小説の中では、読後の清涼感がいいのも荻原作品。決して完全ハッピーエンドではないにも関わらず、そう思わせるのは、きっとそれだけ感情移入しているからかもしれない。
ホント、今年は荻原浩三昧の一年でしたなぁ。
ISBN:4101230331 文庫 荻原 浩 新潮社 ¥620
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