きれいな話だ。

ただし主人公に感情移入するまでに時間がかかる。僕にとって落語家という特殊な職業にあまり馴染みがないからかもしれないけれど、べらんめぇ調の文体自体が最初は受け付けなかったのだ。

けれど文章は上手い。操る言葉も巧みで、話の流れもスムーズ。まだ見てないけど、確かに映画化するくらいの快作であると思う。

う〜ん、ケチをつけるところがない。あえて言うならば、極めて主観的な「違和感」しかない。TVで作者の佐藤さんの特集をしていたのを見てたら(・・・そんなに真剣に見てたわけじゃないけど)、相当きちんとした取材を徹底して行う作家さんらしい。リアリティを求めたがために、フィクションとしての小説(特にこの手のお話)との整合性が取れないんじゃないかなと思うのは考えすぎかしら。

「違和感」は、頑固で女に弱いはずの江戸っ子主人公の三つ葉が、女性視点で描かれている気がするからかもしれない。女性からすると、こんな男性が素敵と思うのかなぁ。ツンデレの男バージョン、みたいな。

ISBN:410123731X 文庫 佐藤 多佳子 新潮社 2000/05 ¥620

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