グラスホッパー

2007年11月14日 読書
上司から借りて読んだ。伊坂幸太郎の作品は初めてだったが、テンポよくストーリーが展開し、読んでいて飽きさせない筆力があった。何をテーマにしているのかが今ひとつハッキリしない気もしたけど、意外な結末といい結構楽しめました。

この本を読み終えて数週間後。僕の知っている人が自ら命を絶った。不祥事があって自宅謹慎中だったので、その責任を取ったのだろうか。あるいは将来を悲観してのことなのかもしれない。

「鯨」って本当にいそうですよね、と上司と話していた直後だけにびっくりして、そして悲しかった。交通事故で亡くなる人よりも自殺が多いことは純然たる事実であって、もしかしたらあまり珍しいことではないのかもしれないけれども、ついこの間まで普通にいた存在がぽっかりといなくなると、どうしようもない空虚感と無力感に襲われる。決して特別親しかったわけではない。でもやっぱりそう思う。

鯨の目を覗き込んでしまったのか。
人間の弱さと言ってしまえば、おそらく簡単に整理できる。しかしその人が今まで向き合ってきた命に対して、どう説明が付けられるのだろう。僕の中で悲しみを中心にして、怒りとか哀れみとかいろんな感情が入り混じる。

松岡さんもそうだったけど、死んでどうすんだよ。
晩節(結局そう総括されてしまうだろう)を汚したまま終わっちゃうんだよ。
あまりに哀しいじゃないか。

せめて死を選ばざるを得なかった魂の安寧を祈るしかない。
合掌。

ISBN:404384901X 文庫 伊坂 幸太郎 角川書店 2007/06 ¥620

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