黒味岳を下山している途中、ざわざわっという音が聞こえた。登山道にいた一頭のヤクシカが茂みに入って僕を見つめていた。つぶらな瞳がまっすぐに自然の闖入者を捉える。僕は多少の気恥ずかしさを感じながらも、じっと見つめ返した。彼(彼女?)は視線を逸らすと、周囲の草を無心に食み始めた。
児童文学の巨匠、椋鳩十は戦前から屋久島に魅せられ、何度も足を運んでいるそうだ。ヤクシカはその作品の中でしばしば登場し、固有品種としての存在感と洋上アルプス屋久島の自然の豊かさの象徴として描かれている。
「人2万、猿2万、鹿2万」
まぎれもなく、屋久島の主のひとりなのだ。
そんな感慨に耽りながら、僕は山を下りる。少し先の花之江河には、かろうじてシャクナゲが咲いていて、先ほどの鹿との出会いと相まって、僕は今日ここに来られた現実に少なからず満足と感謝の気持ちを覚えた。あぁ、これなんだなぁ。
涼しげな風が吹き抜け、湿原の上を渡した木の橋の上でしばし空と山を眺めた。
児童文学の巨匠、椋鳩十は戦前から屋久島に魅せられ、何度も足を運んでいるそうだ。ヤクシカはその作品の中でしばしば登場し、固有品種としての存在感と洋上アルプス屋久島の自然の豊かさの象徴として描かれている。
「人2万、猿2万、鹿2万」
まぎれもなく、屋久島の主のひとりなのだ。
そんな感慨に耽りながら、僕は山を下りる。少し先の花之江河には、かろうじてシャクナゲが咲いていて、先ほどの鹿との出会いと相まって、僕は今日ここに来られた現実に少なからず満足と感謝の気持ちを覚えた。あぁ、これなんだなぁ。
涼しげな風が吹き抜け、湿原の上を渡した木の橋の上でしばし空と山を眺めた。
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