凛とした紫

2007年1月23日 焼酎
「天は南海の種子島に 一粒の美雫を落としけり。」

そのラベルには一読しただけでは、なんのことやら分からないキャッチフレーズが踊る。種子島の四元酒造の「凛とした紫」。
美しいラベル、どこか謎めいた名前、ワイン酵母仕込みという希少性。ひと目見たときから、興味をそそられていたことは確か。

いきつけの某酒屋さんで2400円で購入。720mlの焼酎としては、かなり高額の部類に属する。後日談だが、同じ「凛とした紫」が1800円で売っている店を発見。軽く落ち込んだ。

味を総括すると「柔らかい」の一言に尽きる。種子島産のアヤムラサキ芋の風味もあるだろうし、ワイン酵母仕込みの妙もあるのだろう。かえって俗に言う「芋焼酎」、つまりクサみがあってこそ焼酎じゃ、という人には受け入れられないかもしれない。

ただ「柔らかい」と言っても、雲を掴むような不確実性ではなくて、芯はしっかりとしている。遠くから見て「綿飴か」と思って触ってみたら、実はマシュマロでした、てな感じ。ちゃんと「焼酎」の実体がある。あ、また分かりにくい例えですね。

どの焼酎とも違う後味は、まだ飲んでいない方にはおススメです。その甘みと軽さに対しては、好みは分かれるかもしれないけど、えぇ僕は好きですよ。こういう個性も「芋焼酎」のバラエティの一つだと考えると、その奥深さに一種感動すら覚えるのは、おかしな感覚なのでしょうか。

純芋

2007年1月19日 焼酎
05年の冬に購入して、少し口を付けてからしばらくの間、棚の奥で眠らせてしまっていた焼酎。それだけ次から次に焼酎を買っていたということになる。

34度の焼酎だから味が濃いことは容易に想像できた。ロックで一口含むと鋭角的に舌の上に刺さり、飲み込むと喉を焼くような熱さを感じる。

だから少し敬遠していたのかもしれない。久しぶりに飲んだ「純芋」は、第一印象からは少し違った感想を僕に抱かせた。

まず芋の香りが強い。まさに芋焼酎という香りが嗅覚をくすぐる。この焼酎を造っている国分酒造は、初めて「いも麹」を採用した「芋」を世に出した酒蔵だそうだ。イモイモ元祖なんだね。
当然、この「純芋」も黄金千貫、いも麹。半年熟成、無ろ過、無調整、無加水。芋が自己主張をこれでもか、と押し出してくる。

実際、決して柔らかくはない。だけど、芋のくさみや芳醇な香り、口中に広がる後味。本当に純粋な芋焼酎なんだな、と実感できる。もう全てを飲みきってしまったけれど、純朴で素直な芋焼酎として覚えておかなくちゃ。
長期貯蔵 三人の蔵
「待つことは祈ること」
そんなフレーズを冠した珍しい焼酎と出会う。

しかし、その販売店である「いなば酒店」に立寄ったのは、道に迷った末の偶然だった。ま、最近あり得ないペースで焼酎を買い漁っている身の上から考えれば、酒屋に吸い込まれていくのは必然ではあるが。

照明を落とした店の奥には、焼酎が大切に並んでいる。周辺地域の焼酎が中心で、ここでしか扱っていないものもあるそうだ。
説明してくれたおばあちゃんは、ちょっと薀蓄を語ってすぐに僕らの前から姿を消した。
「こいつら、買わねーな」と思われたか、単に面倒になったか。

その棚に一際目立つ遮光瓶が佇立している。ラベルには「三人の蔵」とあった。どこか洋酒を思わせるデザイン、実際焼酎には珍しく「AGED 3YEARS」と横文字まで踊る。

飲酒運転厳禁のご時世、香りだけを「試飲」。他の焼酎と比べて格段に芳醇。値段はそこそこしたけれど(720mlで3000円弱)、この香りと希少さに購入を決めた。

家に帰って飲んでみると、その香りから想像していた通りの味だった。樫樽(たぶん)に3年間貯蔵していただけあって、樽の香りと味がウィスキーのよう。以前倉敷で買った麦焼酎も同様の風味があったが、アルコール度数が25度の「三人の蔵」の方がマイルド。ストレートでは十分な甘みが感じられる。

和洋折衷、とも言えるが、かなり洋に傾斜した焼酎だ。芋好きには、ちょっと違和感を覚えるかもしれない。でもロックグラスと「三人の蔵」、たまにはこんな取り合わせも悪くない。

ちなみに、店のおばあちゃんに道を尋ねたら「ちょっとわからないなぁ」。なにしに入ったんだか。
されどミーハーな日々
今日はピンクリボンウォークで彼女が無料入浴券を引き当てた某ホテルに行った。昼食はそこのニューイヤーバイキングを食する予定だったが、「予約のお客様がいっぱいで、いつ入れるか判りません」との愛想のない従業員さんの一言に、大人げなく「はいはい、分かりました」と応じ、風呂も入らず速攻で別の目的地を探す。

文句言う筋合いじゃないかもしれんが、パンフレットに「要予約」と書いてあったか?
予約なしで入れる席は、テーブルで2・3席だって告知してあったか?
ま、もういいけどさ。

次に目指した蕎麦屋も、初商いは3日から。腹を空かせた僕たちは、地図に載っていた吹上町の「ゆ〜ぷる吹上」に向かった。
名前の通り(ネーミングセンスはとやかく言うまい)、温泉を併設した施設でレストランもある。唐揚げ定食と海鮮丼は、絶品!とまではいかないまでも、十分合格点。「空腹は最高の調味料」って言葉もあるけどね。

お風呂も及第点でしょう。海が見える露天風呂、ジャグジー、サウナ・・・。よくある温泉施設の一通りは揃えてある。かといって、ここはこれ!という特徴があるわけでもないので、あくまで平均点は取っていますよ、でも優はあげられないな、てなもんです。

近くの吹上浜を歩く。日本三大砂丘だそうで、延々と続く砂浜には圧倒される。ただ鳥取砂丘と比べちゃうときっと見劣りするんじゃないかな?比べようにも僕は鳥取に行ったことがないんだけれども。

それよりもずっしりと胸に響いたのは、昭和53年に行方不明になった、いわゆる「拉致被害者」に対する情報提供を呼びかける看板を見かけたことだ。僕らが車を停めた松林に彼らの車が残っていて、すぐそこの海岸から連れ去られたらしい。
もう30年ほど前の話だが、現場を目の当たりにすると、ものすごく身近な話に感じられる。うっすらとした恐怖すら覚える。

帰途に就く。途中の酒屋に寄った。この辺りは西酒造の大きな蔵もあって、でかでかと「富乃宝山」と看板に掲げている店も多い。「蒸撰綾紫」を狙っていたのだが、期せずして「天使の誘惑」を発見した。

欲しかったんだよなぁ。でも最近の焼酎購入ペースから考えると、この出費は度が過ぎている感も否めない。彼女は「勝手にすれば」オーラを身にまとって、呆れ顔で僕を見つめる。

なかなか「天使の誘惑」は、鹿児島市内でもお目にかかれない。散々迷った優柔不断でミーハーな僕は、あえなく陥落した。
はい、お買い上げ。
嗚呼、どんだけ飲む気なんだ、いったい?

しかし「魔王」と並べてみると、それはそれで心ときめいちゃったりして。
霧島に向かう国道脇にひっそりと佇む酒屋さんがあった。「佐藤」の看板を掲げていたので、「佐藤黒」や「佐藤白」が置いてあるかな〜と期待を抱いてお店に入った。

そこで出会ったのが「とみのくら」。店主の親爺さんに勧められるままにダメ元で一升瓶を買ってみたのだけれど・・・

これが美味いんです!コクがある。薫がある。最近の芋焼酎は飲みやすさ追及のものが多く、あっさりとした飲み口が特徴とも言えるが、どこか自己主張が少なくて物足りないと思うことがある。「とみのくら」は「なんか物足りない」とは言わせない力がある。そう確信できる。

上司から「昔の焼酎好きの得意先に贈るから、珍しい焼酎はない?」という要求に、迷わず「とみのくら」を勧めた。しばらくすると再び上司から「この前の焼酎、どこで売ってるの?」と店の場所を質問された。
どうやら贈った先から「また欲しい」との返り注文があったらしい。なぜか僕まで嬉しくなった。

杜氏は黒瀬安光。美味いのも当然と言えば当然か。僕の現時点でのNo.1はこれ!と自信を持って言えます。そんな焼酎です。

夢尽蔵 安納

2006年11月18日 焼酎
両親が鹿児島にやってきた。僕の様子を見に来たわけでは全くなく、家を建てる準備と父の講演のためだ。

行きつけの飲み屋さんでちゃんこ鍋に舌鼓を打ちながら、将来についても自分の考えを述べる。彼女のこと、仕事のこと・・・30を過ぎて、こんなに親と語っている自分は、もしかしたらすごく情けない人間なのかもしれない。独り立ちしていない、親離れしていない、そんな人間なのだろう。

ただ話ができる環境にあるという事に限って言えば、僕はかなり恵まれている。絶縁になってもおかしくない状態もあったが、こうして将来を語ることができる。それは幸せなことだ。

両親をホテルまで送っていき、その後一足早い忘年会に行っていた彼女と合流。1時間のカラオケ後(猛烈に歌いたかったのだ)、彼女の友人が開いているお店にお邪魔する。そこで出された焼酎がタイトルの「安納」。

種子島の安納芋を使用しているそうだ。香りが芳醇で甘い。口に含むとまた甘い。糖分の甘さと言うよりは、角が取れた柔らか味と言うのだろうか。
お店の雰囲気も良く、ついついグラスの液体が減っていく。「紅伝承」も飲み干し、「ここの焼酎は、どこで手に入りますか?」とマスター(ママ?)に伺うと、「ドルフィンポートにあるんじゃない」とのこと。翌日早速行ってみた。

あった!
「安納」が普通に並べてある。もちろん1本お買い上げ。
今まであまり注視していなかった銘柄の中にも、美味しい焼酎がたくさんあることを再認識した。

「有名だから美味い」のは当たり前。「無名で美味い」を探求したい。

焼酎道は奥が深いのぉ。
先日訪れた倉敷で購入。最近は、芋焼酎の風味ばかりを追いかけていた僕に衝撃的な一石を投じてくれた麦焼酎だ。

美観地区の一角にある酒屋さんで試飲したところ、ひと口で唇に突き刺さるような香りが広がった。ま、それもそのはず、43度というアルコール度数の成せる業。ただそれだけではない。まるでウィスキーのような口当たり。とても焼酎とは思えない。

同じ蒸留酒だし、共通項はたくさんあるのだろうけど、それにしても不思議な味だ。鹿児島に来てから芋のバリエーションの多彩さにも驚いたが、「麦焼酎」という括りの中にも色々あるんだなぁと納得。早速1本お買い上げしました。

鹿児島の自宅にて、萩焼の焼酎グラスに氷を入れて、樫樽で貯蔵されていたウィスキーに似た倉敷の麦焼酎を注ぐ。様々な文化が混沌としながらも、どこかで有機的に繋がっているようで、なんとなく嬉しくなる味なのだ。

くじらのボトル

2006年10月5日 焼酎
ラベルがとても印象的で、量販店には置いていないか、少々お高め価格で陳列されている。見た目の柔らかさと比較すると、そのボリュームに驚いたりする。

ま、「くじら」だもんね。力強さがあってもいいか。口の中に広がる焼酎臭さ(昔のそれに比べたらどうってことないんだろうけど)は、最近流行りの飲みやすさ追求焼酎とは違って自己主張をしてくれているみたいで微笑ましい。

割り水には垂水温泉水「寿鶴」を使っているそう。「じゅ〜かく、じゅかく、飲め飲めじゅかく」の寿鶴だよね。正直よくわかりませんが、きっと美味しい水なのでしょう。

こういうラベルの見た目と味とのギャップはなかなか楽しい。超おススメ!とまでは言わないけれど、僕は好きです。かなり。
杜氏黒瀬安光の名を冠する「倉津」。NK菌を使用し原酒をマイナス四度まで冷却し、ゆっくり眠りにつかせます。なんだって。彼女がお土産に買ってきてくれました。

普通に美味しいですけどね。飲みやすさを追求した「森伊蔵」的な美味しさじゃないけど、芳醇な香りと口に含んだ時の「ほっこり感」が芋焼酎らしくて好感が持てます。

「普通に」と言ったのは、レベルが上がっているからなのかしら?黒瀬杜氏の中でも黒瀬安光さんはトップらしいし、文句の付けようはありません。

うーん、なんと言うのかなぁ。

高いレベルでの争いに満足はするのだけど、「これだぁ〜〜〜」という「最高傑作」には到達せず・・・。

なんて言いつつ、「倉津」と同じ鹿児島酒造・黒瀬安光「とみのくら」を一升瓶で仕入れてきた自分。今、家にある焼酎を飲み尽くす頃には、軽いアル中になっているかもしれない危惧を抱きつつ、明日もちょっと酒屋さんに入ったりしてるんだろうなぁ。

自慢じゃないですが、下手な居酒屋以上の品揃えです。
「愛子」「三岳」「薩摩茶屋」「佐藤白」「倉津」「とみのくら」「丸西」「和助」「くじら」「金山蔵 黄金麹」「兼重」「櫻井」「純芋」「むかしむかし」「しまむらさき」
もう飲んじゃったけど、
「千亀女」「本にごり和助」「アサヒ」「海」「紫尾の露」etc.

あ、ただの酒飲みってことですね。

お供の焼酎

2006年5月9日 焼酎
松山でお世話になる先輩のお土産として、鹿児島名物本格芋焼酎を持参しようと考えた。荷物は満載、全く余裕はなかったが、タオルに包んでなんとか押し込んだ。

今回、栄えある四国お供焼酎として櫻井酒造の「小さな蔵」が選抜された。正式には「こだわりは只ひとつ小さな蔵で正直に醸す自然な味」という、「じゅげむじゅげむ…」みたいな長い名前。白麹9に対し、黒麹1のブレンド。一般的に優しい口当たりの白麹。「島美人」が代表格だ(鹿児島の人、特に若い人は「しまび」と略す。黒伊佐錦は「くろいさ」)。

鹿児島代表として旅立った「小さな蔵」だが、結局目的地には辿り着かなかった。別府で、高知で、香川で、僕や出会ったバイク仲間の喉を潤し、会話を弾ませ、心地よい睡眠を手助けしてくれた。3日目の夜に、一滴残らず全て僕らの貪欲な胃袋に吸い込まれていった。

ありがとう、小さな蔵。
ごめんなさい、先輩。

味は最近の焼酎ブームの流れに合致して、軽くて優しい飲み口。同じ蔵の主要銘柄「金峰 櫻井」が、いかにも「芋焼酎です!」という強烈な主張をしているのとは、まさに対照的だ。愛知県民、滋賀県民、北海道民が今回この焼酎を口にしたが、その全ての感想が、
「飲みやすい。すっきりしてる」

うーん、ちょっと複雑。それでいいのか芋焼酎?って気もしてくる。決して不味かったわけではない。むしろなめらかな味わいは絶賛の部類に入るが、こういう焼酎ばかりになってくると、没個性ゆえに結局飽きられてしまうんじゃないかな、と危惧するわけです。

「おはんに、焼酎のなんが分かっとね!」

はい、ごめんなさい。

五代目 和助

2006年2月16日 焼酎
得意先の人から薦められた焼酎。
「美味しいよ」と言われた先入観もあるかもしれないが、僕はかなり好きです。

芋焼酎のしっかりした後味を残しつつも、すっきりした味わいで飲みやすい。黒麹はアクが強いと言われるが、「三岳」のような清々しさすら感じる。
う〜ん、あんまり上手な表現は出来ないなぁ。

ま、どこにでも置いてある焼酎じゃないという希少価値が、なんとなく味を押し上げている感も確かにあります。でも数を置いてある酒屋さんを発見したので、他県の友人にはもっぱらこのお酒を勧めている。値段もリーズナブルだし。

先日冬季限定品の「本にごり 和助」を入手。こちらは少し濃厚な味わいで、するっと入る「和助」に比べて口にした瞬間から味が広がる。それでも芋のくさみは殆んど感じない。

4,000本弱しか製造しないみたいだから、希少価値は更に高い。とは言っても値段はほぼ同じ。和助はコストパフォーマンスにも優れた、とてもバランスがいい焼酎だなぁと実感。

焼酎天国

2005年11月1日 焼酎
鹿児島は言わずと知れた焼酎天国。焼酎のCMはひっきりなしに流れるし、酒屋に行っても焼酎がズラリと並ぶ。芋焼酎ブームによって原料の芋すら足りなくなって、中国から輸入している蔵もあると聞く。

仙台でも焼酎を出す店が多くなってきて、「海童」や「富ノ宝山」などを飲むことができた。しかしいくら本場鹿児島に来たからといって「森伊蔵」や「魔王」などプレミアが付くような焼酎が手に入るわけもなく、仙台にいるときに屋久島のお土産で「なかなか現地でも手に入らないんだよ」といってもらった「三岳」が、居酒屋で1杯350円から400円という価格で飲めることに驚きと喜びを感じていた。

鹿児島に引っ越してから、ドルフィンポートにある綺麗な酒屋を覗いてみた。明らかに「観光客向けです」と主張している店内であっても、様々な銘柄が揃っているのはさすがに本場だなと思わせる。でも目移りがすると同時に、選択肢が多すぎて何が美味しいのか分からない。

とりあえずラベルだけで判断して「角玉」を買ってみた。家に帰ってロックで飲んでみたら、結構すっきりした味わいの焼酎だった。もしかしたら、芋のくさみをあえて消して飲みやすくするのがトレンドなのかもしれない。

まぁ、せっかく鹿児島に住んでいるのだから、その状況を活かさない手はない。これからいろんな焼酎を味わってみて、ブランドや値段、知名度なんかにとらわれずに、自分なりの「運命の焼酎」を探してみたい。

金かかりそうだなぁ・・・

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